-
最近観た映画
Posted on 8月 2nd, 2009 No comments最近観た映画。
- Dear Doctor
- ホルテンさんのはじめての冒険
- 英国王 給仕人に乾杯!
順にコメント。
Dear Doctor
「ディア・ドクター」(ディアはdeerじゃなくdear)は、
「ゆれる」の西川美和監督作品。
今年の春くらいから劇場予告で観て、
ぜひ見に行こうと思って2週間前に観た。「ゆれる」が裁判とか心理描写メインだったのに対し、
「ディア・ドクター」は映像的に面白い場面が多かった。<Dr.伊野の失踪>という事件を中心に、時間がザクザク切られていて、
場面の切り替わりや配置が一種サスペンスのようで絶妙だった。二面性がありそうな笑福亭鶴瓶(Dr.伊野)の演技は良かったし、
キャスト的にも、瑛太(なんで医学生役多いんだろう?)、余貴美子、
香川照之(「ゆれる」に出演)、八千草薫、井川遥と豪華。瑛太が最初にスクリーンに映るシーンで、暗闇の中、稲が生い茂った
田んぼに入って、すごく焦って稲をかき分けガサガサ捜す箇所があるのだけれど、
その次のシーンでは、赤いスポーツカーに乗って、音楽ガンガンかけて
村の診療所に余裕でやってくる様子が映し出されて、
演出が良くできてるなあと思った。ストーリーには踏み込まないことにして、
僕が印象に残ったシーンは、嵐のなかで救急措置を行う場面。
雨雲をみながら、瑛太が「これは来るな~」と言う予兆があって、
嵐とともに急患が運ばれてくる。
酸素吸入をしてもSpO2があがらなくて、どうしたものかとしていると、
看護師の余貴美子がDr.伊野に「これって緊張性気胸じゃないですか?」ときく。
Dr.伊野が余に誘導されながら、患者の胸に針を刺すと、症状が治まる。
「緊張性気胸」は救急現場で見過ごされやすいと聞くし、
けっこうリアルで面白かった(東京医大が監修)。他にも映像的に良かったのは、一番最初のところで、スクリーンの左から右に
ゆらゆらオレンジ色の光が蛍のように移動していって、それがやがて
自転車の電球というのがわかる場面。
途中自転車が止まって、Dr.伊野が落とした白衣を拾って、
それを自転車の男が着て診療所に帰ってくるのだけれど、到着したときに
「なんで、おまえが白衣着てるんだ」と言って叱責される。
それは、「医者でもないのに」ということを意味していて、
この映画の要点が、すでに提示されていることがわかる。しかも、このシーンは繰り返しがあって、夕暮れのなか、
Dr.伊野が村から抜け出すところで、Dr.伊野の乗ったバイクのランプが
スクリーンの左から右に映し出されて、Dr.伊野が白衣を道路にポイと
投げて行ってしまうところがある。
見事にスクリーンを利用した環ができあがって、すごいと唸った。あと、香川照之が刑事の松重豊から聴取を受けているとき、
ソファに座ったまま後ろにバタンと倒れて、松重に助けられて一言、
「これは愛ですか?」と聞いて刑事に一泡食わせるシーン。Dr.伊野の家でカナブンが裏返しになっていて、もぞもぞして
元通りになって飛んでいくシーンや、
郊外のマンションを外から映していって、徐々に電話している老婆がいる
部屋にカメラが寄っていくシーン(しかも隣にO2ボンベをつけた老翁がいる)
ラストの農村をカメラが漂いながら、ハーモニカを吹くおじさんが
視界に入るシーンは、ストーリーそのものとは関係がないのだけれど、
芸術的な感じがした。ホルテンさんのはじめての冒険
原題は”O’Horten“。ノルウェーの映画。
主人公は、ベルゲン急行の運転士のオッド・ホルテン。
引退後のちょっと孤独でちょっと奇妙な生活。最初に、ベルゲン急行の運転席からの眺めが数分間流れる。
トンネルに入って、白い出口が見えて、雪の世界が広がって、
という繰り返しがなんとも言えずきれいだった。音楽は、ノルウェー出身のKaada。
雪のなかの涼しげな描写にぴったりな音楽だった。
ホルテンさんが生真面目でおとなしくて、感情の起伏をあまり見せない分、
音楽が盛り上がりを補ってくれているようだった。いわゆる「やおい」な感じはしたんだけど、逆に観終わったときの
何も残らなさが爽快だった。付け加えると、この前見たアイルランドの映画”Garage”となんとなく
似ているところがある(どちらも中年過ぎのつまらない?男性が主人公)。英国王 給仕人に乾杯!
チェコの映画(チェコ・スロヴァキア合作)。
英題は”I served the King of England”で原題は”Obsluhoval jsem anglického krále”。
監督はイジー・メンツェル。タイトルからは全く想像がつかないけれど、内容は
一人の背の低い給仕人の一生をチェコの20世紀史とともにつづったもの。主人公ヤン・ジーチェ(ジーチェは小人の意味)を演じる俳優が、
金髪の若い頃と、再教育監獄に14年9か月閉じ込められて出てきたあとの
おじさんの2人いるんだけれど、その二人があまりに似ていなかったので
かなり違和感があった(二人とも有名な俳優だとのこと)。音楽に合わせて楽しく料理が運ばれていく予告をみて、
これは見ておこうと思ったのだった。
料理とかセットとか衣装とか、かなりお金かけているに違いないと思った。若き頃のジーチェを演じている俳優は、鼻が曲がってるのがずっと気になったけど
動きがコミカルで、チャップリンを髣髴とさせた。
駅やレストランのなかで、コインをわざと落として人がどんな反応をするか見たり、
ベッドで寝た女性の裸の上に花とか料理を盛り付けたり(女体盛りみたいに)、
変な性癖をもった人間だと思った。歴史的な記述は途中から出てきて、最初はいつの時代のことかわからなかったけど、
チェコがスロヴァキアと併合されたり、ナチスドイツに占領されたり、
次第に戦争のときの話だったということに気が付く。ナチスドイツの管理下、優秀なドイツ男子とドイツ女子との交配を行うための
施設で主人公が働くことになるのだけれど、そこでは女性が外でも裸で
過ごしていて、画面が裸で埋め尽くされたのには、正直唖然とした。日本・ノルウェー・チェコと各国それぞれ、いい映画を観た。
Leave a reply
