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A LESSON OF ANATOMY
Posted on 7月 26th, 2008 No comments感想文:解剖実習をとおして学んだこと
二〇〇八年四月、私たち医学科三年の人体解剖学実習が始まった。午後の講義でA先生から解剖する部位について説明を聴き、講義が終わると実習室へ向かう。更衣室で白衣に着替えて、実習室に入る。実習室は地下一階にあり、広々としていた。入口の向かいにかかっていたのは、“The Ultimate Gift”の文字。ステンレス製の解剖台の真上には、蛍光灯の明るい光があたるようになっていた。毎回、解剖をする前に黙とうをする。三、四人のグループで、一体のご遺体を三ヵ月かけて解剖した。
私はこれまで、人の体全体をじっくりと見たことはなかった。体の表面でさえ、注意して見たことはなかった。はじめて触れた人の皮膚は厚く弾力があり、骨格筋は張りがあり、骨は硬く、関節は滑らかだった。丁寧に神経を取り分け、血管の枝分かれする様子を見た。メスとピンセットを使い、できるだけ細かく、詳細まで見ていくことを心がけた。
あらためて、人は生まれ落ちてから、成長して大人になり、死んでいくまでのあいだ、ただ一つだけの身体(と心)をもって生きていくのだということを実感した。私たちはみんな、歴史上ひとりしかいない存在。一般的な<人体>の構造をみると同時に三ヵ月間お世話になったご遺体本人の、<個人>としての特徴を見た。はじめてご遺体に対面したときの、ゆるやかな顔の表情。この人は、どんなふうに話をしたのか。そして、体格の割には大きな手。どんな仕事をしていたのか。とても気になった。
私は人が好きだ。好きな人がいるということと、人が好きだということは若干違っていて、人が持っている可能性すべて、というか、普遍的な人としての生き方に愛おしさを感じる。マザーテレサは、「生きるということは、神の栄光のために、また全ての人の幸せのために、できることをやることです」という言葉を私たちに遺した。この言葉を胸に、私はこれから、一人の医師としての道を進んでいきたい。私たちに、ひいては医学のために身体を丸ごと差し出すという、大いなる決断をされた方々の、ご厚意に感謝したい。2008年7月26日
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